オフィスデザインは、コミュニティを構築することができるでしょうか?
Tavistock Development Company ケーススタディ
Orlando, Florida, US
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ケーススタディ
ケーススタディ:Tavistock Development Company
Tavistock Development Companyは、ハーマンミラーと提携して、働く社員の間に連携意識が生まれるオフィスを作り上げました。
タビストック・デベロップメント・カンパニーでは、自分のデスクでランチを食べる社員はいません。この不動産開発会社の窓が並んだ明るいカフェでランチを楽しめることができるのに、デスクで食べる人などいないでしょう。ヤシの木が揺れているフロリダの青い空を背景にして、経理担当者がプロジェクトマネージャーと会話を楽しみ、事務スタッフが弁護士と笑い合い、マーケティング専門家が都市計画立案者と情報交換をしています。就業時間中にはあまり一緒に仕事をすることがない人たちが、同僚の仕事について知り、そしてそれを楽しんでいます。
前はこうではありませんでした。タビストックの社長であるジム・ズボリルと彼のチームが3つの異なるオフィスを1つの場所にまとめるという決断を下す前は、ランチを含み、どのような行事であれ、みんなが寄り集まることはほとんど不可能でした。タビストックの人事部長であるカレン・デュールは、ある夏の暑い日に会議室でアイスを食べるために全員を集めようとして失敗したことを今でも覚えています。「とてもばつが悪かったです」彼女は言います。「5人用の会議室に50人が詰め込まれました」
また、タビストックの分散された小さいオフィスは、社員が一緒にまたは一人で仕事を効率よく行うには十分なスペースがありませんでした。似たり寄ったりの会議室、離れた場所にある休憩室、そして極秘の話し合いには向かないロビーを除いて、社員がコミュニティ開発プロジェクトについて一緒に作業できる場所はありませんでした。
「私とエグゼクティブチームがすべての会議室を独り占めしていました」ズボリルは言います。「実際に仕事をこなしている社員たちは、コラボレーションが可能なスペースを利用できませんでした」社員は、重要な会議を社外で行うように予定を組んでおり、効率的にも予算的にも頭の痛い問題でした。
ズボリルは、これは非効率的な問題や不都合な問題以上のもっと根深い問題をはらんでいると思いました。タビストックが、活力を生み出す協力的なコミュニティをクライアントのために作り出す会社としての評判を保持したいのであれば、同じことを社員にもしてあげる必要がありました。
ズボリルと幹部は、一つの場所に全員を集める必要があることを認識していました。そして、自社の人気開発プロジェクトであるレイク・ノーナのにぎやかな場所になる予定のタウンセンターこそが、理想の場所でした。しかし次のステップである、社員がお互いと交流できるようなワークプレイスを計画する、ということはあまり簡単ではありませんでした。タビストックは、ハーマンミラーと、オーランド拠点のリトルダイバーシファイドアーキテクチュラルコンサルティング(リトル)に協力を求めました。
「私達がウエストミシガンにあるハーマンミラーの本社を訪ねた時、すぐにインスピレーションを感じたのは、そのエネルギーでした」ズボリルは言います。「陰鬱な冬の日にオフィスに一歩足を踏み入れた途端、活気にあふれ、明るくて、周りに伝染するポジティブな雰囲気がそこにはありました。それこそが、自分達のオフィスに実現する必要があるものでした。私達は、ハーマンミラーの他の種類のスペースも観察しました。そしてどうすれば、フロリダで自分たちのニーズに合うようにこれを作り変えることができるだろうかと考えました」
ズボリルが見たスペースはセッティングと呼ばれているものです。これは、社員と組織が共に繁栄することができるワークプレイスを作り出すハーマンミラーのLiving Officeアプローチの一部です。Living Officeは、社員のニーズと日常業務を基にセッティングを作り出すフレームワークを組織に提供します。家具とツールを特別に組み合わせることで、これらのセッティングは、仕事でより創造的、協力的、積極的になれるように社員の可能性を引き出します。
開発中のLiving Office
Living Office導入前、導入中、導入後でのタビストックのワークプレイスの効率を調査するリサーチプロジェクトに、ハーマンミラーはタビストックを招待して参加してもらいました。このリサーチに基づくアプローチは、開発プロジェクトをコミュニティに知らせるためにデータを使用するというタビストック独自の手法と一致しました。
リサーチの一環として、ハーマンミラーは、社員とリーダーをLiving Officeの発見プロセスに招待しました。このワークショップは、組織が、目的、業務上の優先事項、個性、アクティビィを特定できるようにします。
会社のリーダー達は、新社屋により会社が進歩できることを望み、組織目標を特定することから始めました。その目標には、社員間に強い一体感を生み出すこと、効率を高めること、優秀な人材を引き付けて定着させることなどが含まれました。
タビストックの次のステップは、日常業務とワークプレイスとの格差を明らかにすることでした。社員グループは10の共通の業務を調査し、自分たちの仕事にとって最も重要なものを突き止め、これらの業務を最もサポートしそうなセッティングにマッピングしました。
この作業の補足として、ハーマンミラーの研究員は、企業のリーダーと社員に職場の効率についての調査を行い、社員の行動を観察し、サポートする/しない室内の要素を社員と共に写真に収めました。
このリサーチにより、新しいスペースは、タビストックの社員が一日を通して行うコラボレーションができる場所であるべきだということが証明されました。これらは、非常に長い会話、長期間におよぶ共同プロジェクトの開発作業、その場での話し合いなどが含まれ、Living Office用語で言うところのConverse(打ち合わせ)、Co-Create(Co-クリエイト)、Divide & Conquer(チーム分担作業)、Chat(チャット)などのアクティビティです。
「私達は3つの違うビルに点在していたので、本来なら必要な協力や衝突がないことに既に気付いていました」人事部長であるカレン・デュールは言います。「リサーチは、私達の仕事においてこのようなタイプの交流がどれほど重要なのかを強調していました」
セッティングの活用方法
「ハーマンミラーは、今までとは違う働き方を提供するという考え方を私達に紹介してくれました」タビストックの開発担当部長のラルフ・アイルランドは言います。「例えば、以前のオフィスでは、私には自分の個室か会議室のどちらかで働くというオプションがありました。今では、たぶん10か12のオプションがあります。ある特定の時間に自分の働きたい方法で働くことができる環境なのです」
タビストックのLiving Officeの8種類のセッティングは、それぞれ異なる種類の個人およびグループ作業をサポートするように意図的にデザインされています。これらのセッティングの一つはWorkshop(ワークショップ)です。タビストックの社員は「ブレーンストーミングルーム」と呼んでいます。このスペースは、建築チーム全員が集まってプロジェクトの話し合いができるほど広いです。協力してクリエイティブな仕事ができるようにデザインされた家具を組み合わせており、社員は、特定の任務を完了するために、より小さなチームに分かれることもできます。(Divide & Conquer)と呼ばれるLiving Officeのアクティビティ)
Workshopでは、社員は立った姿勢の高さの長いデスクの周りに集まって、新しい開発プロジェクトの計画についてレビューします。大型のモニターが周囲に設置されており、デジタルでプロジェクトをレビューして、すぐに変更を加えることができます。そしてもし電話に出る必要がある場合は、近くのラウンジチェアに移動することができます。
「ブレーンストーミングルームには、すべてが詰まっています」タビストックのプロジェクト管理者であるクリスチャン・コートニーは言います。「ホワイトボードスペースもあり、プロセスの流れを通して考えたい時に役立ちます。また、たくさんのモニターもあります。そしてスペースのレイアウトにより、誰もが、そこにある物すべてをはっきりと見ることができるのです。これは、その場で、効率よく作業できる大きな機会を私達に与えてくれます」
中心に位置しているカフェ(Plaza(プラザ)セッティング)もまた、開発プランから週末の計画に至るまで、あらゆる種類の会話をするために社員が集まることができます。Plaza では、仕事と交流のために人が集まります。勤務時間後のアクティビティ、新規契約を祝う急の仕立てパーティー、そしてタビストックがテーマのトリビアやコスチュームコンテストなどの毎月のパーティです。
「引っ越し後、私は、社員に最も変化をもたらした新しい人事部ポリシーは何か質問をしました」人事部兼社内業務部長であるデビー・デマーズは言います。「新しいポリシーには、有給休暇の増加やフレックスタイム制などがありました。しかし、最も変化をもたらしたことは、カフェとそこでの社員同士の交流だと社員は答えたのです。楽しいし、社員はとても満足しています。そして社内で何が起こっているのかを社員に伝える最善の方法でもあります」
個人のスペースを計画
社員が「自分自身のスペースを確保」して快適になるように、ズボリルとチームは、ハーマンミラー、建築家、そしてデザイン会社のリトルと協力して、オフィスが一緒に働くことができるだけでなく、長い機密文書を読んだり、提案書の下書きを作成したり、離れて作業に集中できるように、適正なバランスを取れるセッティングを持つようにしました。
新オフィスでは、主要ワークスペースの賑やかなアクティビティから離れる必要がある場合は、十分に囲われたHaven(ヘイブン)セッティングで小休止できます。ここでは、数時間ラップトップで作業をしたり、電話で話したり、複雑な問題について考えを巡らせることができます。
また社員のワークステーションは長時間自分の作業に集中でき、かつ同僚が質問をしに立ち寄った時には迅速に対応できるようになっています。リニュー シットトゥスタンドデスク、フローモニターサポート、そしてエンボディチェアの人間工学的な組み合わせにより、一日を通して社員はより活動的になり、さらに快適な位置にテクノロジー機器を設置することができます。
「私は、一日を通して、常にデスクを上下に動かしています」プロジェクト管理者のクリスチャン・コートニーは言います。「集中する必要がある場合は座ります。でも、誰かが私のデスクに来た時は、すぐにデスクを上げて一緒に立って喋れるようにします。その方が、より自然に同じ空間を共有できます」
これらすべての変化は、職場全体の効率とタビストックに対する社員の満足感を大いに改善しました。この改善を数値化するために、ハーマンミラーは、リーダーと社員を導いてリースマン調査を行いました。リースマンインデックスによると、タビストックの以前の施設は、100点中48.7点でしたが、新社屋は85.5点を獲得しました。これは、リースマン グローバルベンチマークの60.7点を25点も上回ります。この素晴らしい得点により、タビストックは、リースマン+ 認定を得ました。
タビストックの社長ジム・ズボリルにとって、これは、彼と彼のチームが、会社の価値観を反映する職場を作り出すというミッションを達成したことを意味します。「このオフィスは、コミュニティ開発プロジェクトで実施している当社の仕事をまさに体現しています」ズボリルは言います。「それは、人を中心としたデザインであり、ここに来ればそれを感じることができます。非常に力強く」