21世紀のデザインの最高峰

イームズプライウッドチェアの誕生の背景にあるストーリーは、デザインにおける想像力とセレンディピティ、つまり偶発的にもたらされる機会を活かす能力の重要性を明らかにしています。1940年代初頭、チャールズ・イームズはMGM社の映画セットの設計に取り組んでいました。 そしてそのかたわら、妻レイとともにデザイン業界に大きな影響を与える可能性を秘めた木材の成型技法の実験を行っていたのです。イームズ夫妻が熱と圧力をかけて木材を成型する新技法を発見すると、それに注目したアメリカ海軍は合板ベニア板の添え木、担架、グライダーシェルなどの開発を夫妻に依頼。 それらは第二次世界大戦で活用されました。

赤い布張りのEames成形合板チェアの上半分のクローズアップ。

木材の究極の姿

そして大戦が終結すると、イームズ夫妻は同じ技法で成型した合板ベニア、つまりプライウッドを用い、手頃な価格ながら高品質で、クッションの代わりに立体的な形を持つ、大量生産が可能なチェアを創り出したのです。プライウッドが座面と背もたれの連結部分で負荷に耐えないことを発見すると、夫妻は当初の一体型シェルのデザインを捨てて、背もたれと座面を独立したパネルで作ることにしました。

成形合板のサンプル。
Eames Molded Plywood Chairのデザインスケッチ。

人間の体に合わせた曲線

このプロセスにより、シートと背もたれの連結部分から余計な木材を省くことができ、軽量ですっきりとした外観になったこのチェアは、モダンファニチャーデザインの基礎を確立する存在となりました。身体にぴったり合う曲線をもつシートと背もたれの形を作り出したイームズ夫妻は、オフィスにも家庭にも適した快適なチェアの設計に成功したのです。

「ニーズを知ることがデザインの第一条件だ。」

チャールズ&レイ ・イームズの詳細情報

製品デザイナーRayとCharles Eames

受賞歴

  • イームズプライウッドチェアが『Time』誌による「デザイン・オブ・ザ・センチュリー」に選出。

    2001
    イームズプライウッドチェアが『Time』誌による「デザイン・オブ・ザ・センチュリー」に選出。