オリジナルデザインをアウトドアのために再設計

1953年のこと、実業家 J.アーウィン・ミラーとその妻ゼニアは、インディアナ州コロンバスに住む夫婦のための家を建てるに当たって、3名の著名なモダニストのデザイナーに設計を依頼しました。エーロ・サーリネンが建物を設計し、アレキサンダー・ジラードがインテリアの総指揮に当たり、ダン・キレーが景観設計を担当しました。ミラー邸に合うアウトドア家具がないことに気付いたジラードは、友人のチャールズ&レイ・イームズ夫妻に相談を持ちかけました。それから1年足らずのうちに、ハーマンミラーでアルミナムグループチェアの製造が開始されることになりました。

家具のデザインにうまく取り入れることのできる新しい技術や素材を常に探し求めていたイームズ夫妻は、第二次大戦後のアメリカで広く普及し始めていたアルミニウムという素材に着目しました。

アルミニウムがもたらした最大のチャレンジは、フォルムに関するものでした。「鋳造に取り組むということは、可塑性の素材に取り組むことであり、心底怖じ気づくほどの自由と対峙するということです」とチャールズ・イームズは1958年に 『インテリアズ(Interiors)』 誌に語っています。「その時、まさに彫刻作品と向き合うのであり、本当に恐ろしい思いをします。

黒い織物のEames Aluminum Group屋外ラウンジチェアの3/4リアビュー。
黒い織物のEames Aluminum Group屋外椅子の背面図は、アルミニウムのフレーム構造を示しています。

イームズ夫妻は、2本の交差ブレース(彼らは「鹿の枝角」と呼んでいました)が固定する2本のL字型アルミニウムの間に張られたファブリックを特徴とするデザインに行き着きました。さらに初期の改良段階で、屋外でも使えるよう、ポリエステルサラン製のカバー(ハーマンミラーのジラードのテキスタイルチームと共に開発されました)が採用されました。このプラスチック製のファブリックは、たるみを防ぐため、大きな負荷がかかる部分には3倍量を使用し、チェアの終端部できれいに巻かれていました。しかしこのようなデザイナー達の最大限の努力にもかかわらず、この新しい素材にはあまり耐久性がなく、度重なる使用に耐えることができませんでした。 そこでアルミナムグループは屋内用に切り替わり、そこからさまざまなモデルが進化したのです。

現在、チェアとオットマンは屋外での利用のために、耐久性のある素材と仕上げを用いて設計し直されました。アウトドアウィーブという新しいファブリックが開発されました。 これはアーロンチェアのペリクルサスペンション素材が先鞭をつけた織りの技術に基づき、サラン製のオリジナルチェアの外観と座り心地を再現しています。多くの屋外用ファブリックとは異なり、アウトドアウィーブは完全にPVCフリーで、形状とカラーを長期間に渡って保ち続けます。屋外用パウダーコーティングを施された各種フレームカラー、そして4スターベースへの回帰が、最新モデルを完璧なものにしています。

Eames Aluminum Groupアウトドアラウンジチェアとオットマン、黒い織物。

「ニーズを知ることがデザインの第一条件だ。」

チャールズ&レイ ・イームズの詳細情報

製品デザイナーRayとCharles Eames

受賞歴

  • イームズアルミナムグループチェアのリエンジニアリングにより、ハーマンミラーが「ベスト・オブ・ネオコン・イノベーションアワード」を受賞。

    2012
    イームズアルミナムグループチェアのリエンジニアリングにより、ハーマンミラーが「ベスト・オブ・ネオコン・イノベーションアワード」を受賞。