家具のデザインにうまく取り入れることのできる新しい技術や素材を常に探し求めていたイームズ夫妻は、第二次大戦後のアメリカで広く普及し始めていたアルミニウムという素材に着目しました。
アルミニウムがもたらした最大のチャレンジは、フォルムに関するものでした。「鋳造に取り組むということは、可塑性の素材に取り組むことであり、心底怖じ気づくほどの自由と対峙するということです」とチャールズ・イームズは1958年に 『インテリアズ(Interiors)』 誌に語っています。「その時、まさに彫刻作品と向き合うのであり、本当に恐ろしい思いをします。
イームズ夫妻は、2本の交差ブレース(彼らは「鹿の枝角」と呼んでいました)が固定する2本のL字型アルミニウムの間に張られたファブリックを特徴とするデザインに行き着きました。さらに初期の改良段階で、屋外でも使えるよう、ポリエステルサラン製のカバー(ハーマンミラーのジラードのテキスタイルチームと共に開発されました)が採用されました。このプラスチック製のファブリックは、たるみを防ぐため、大きな負荷がかかる部分には3倍量を使用し、チェアの終端部できれいに巻かれていました。しかしこのようなデザイナー達の最大限の努力にもかかわらず、この新しい素材にはあまり耐久性がなく、度重なる使用に耐えることができませんでした。 そこでアルミナムグループは屋内用に切り替わり、そこからさまざまなモデルが進化したのです。