借りを返して
1959年、ジョージ・ネルソンは、モスクワで開かれたロシア革命以来初となるアメリカとソビエト連邦の間の文化交流プログラムであるナショナルエキシビジョンのアメリカのパビリオンをデザインするようアメリカ政府から依頼されました。パビリオンは、アメリカ製の製品を展示することになっていました。ネルソンはイームズに、パビリオンで上映するため、アメリカの1日を描写する映画を制作するよう頼みました。
チャールズ・イームズはタイムライフ社の会長であり、友人でもあるヘンリー・ルースに、同社が保有する膨大な写真記録からの画像を使わせてもらえるよう許可を求めました。ルースはそれに同意しましたが、この借りは返すようにと言いました。イームズの映画は、「Glimpses of the USA」と呼ばれ、史上初のマルチスクリーンのスライドショーとして大成功を収めました。
モスクワの展示から1年経過したとき、ルースはイームズのデザインチームに新しいビルのためのチェアのデザインを依頼しました。この時イームズがデザインしたのがタイムライフチェアであり、1960年からずっと製造が続いています。