総合的に、より良い体験を
ジャンフランコ・ザッカイは、数十年もの間、ヘルスケアのデザインについて考え、取り組んできました。彼は「デザイナーは、良いデザインのさらに上を行く良いデザインを生み出すために努力するべきだ」と信じています。つまりそれはどういう意味でしょうか?「より望ましく、より使いやすく、より製造、納品しやすい、より良い物やより良いサービスを作り出すことで、市場に広めるという時代は過ぎようとしています」 彼は言います。「この時代に勝利を収めるのは、最高の体験を総合的に顧客に提供できる人です。人々は素晴らしい体験を得たいと願っています」
グローバルなイノベーションとデザインコンサルタントを行うデザイン会社、Continuumの共同創立者であるザッカイは、ハーマンミラーヘルスケアのために彼がデザインしたコンパスシステムのデザインが持つ、先を見据えた洞察力について語ってくれました。彼は「より良い」ヘルスケア製品を生み出したいとは思っていませんでした。彼の目標は、より良いヘルスケア体験を生み出すことでした。
「スペースは、看護の質の基礎となるものです。そして[病院の]スペースはとても貴重です」彼は言います。「私たちは、場所を取らない製品で、関係する人びと全員に最高の体験を届けたかったのです。奥行のあるキャビネットと棚というアイデアは、病室内のスペースを有効に活用するという考えとは全く逆のものです。患者の多くは病院に短期間しかいませんので、患者が素早く出入りできることが目標でした。患者は、春用の衣服一式を病院に持ち込むのではありませんからね!」
ザッカイそして彼のグループメンバーと共に、ハーマンミラーの研究者たちは、550名以上の臨床医、病院事務管理者、建築家、デザイナーと話し、現在の病室と診療室が満たしていない最も重要なニーズを発見しました。近頃のテクノロジーやヘルスケアは変化が激しいため、柔軟性はもちろん重要です。しかし、同様に重要なのは、患者の体験を向上し、看護師の効率を上げることでした。
「さらに上を行く良い物を」生み出すというザッカイの哲学は、あらゆる種類のイノベーションに現れています。その中の一つは多分あなたの家の中にもあるプロクター・アンド・ギャンブル社のスイッファーです。「プロクター・アンド・ギャンブル社から依頼された私たちの「任務」は、より良い床掃除製品をデザインすることでした」ザッカイは言います。「しかし、より良い床掃除体験をデザインするというミッションを自分たちに課したのです」
より良い体験へと焦点を合わせることは、Cotinuumが開発した数々の医療装置にまで及びました。それには、薬剤投与中に楽しいビデオゲームで気をそらして小児を鎮静させるシステムや、糖尿病の患者が着用できる小型のインスリンポンプ、そして2008年に発表されたハーマンミラーのナラチェアなどがあります。実際、彼はここ20年間を通して、ハーマンミラーに協力していて、アーロンチェアを生み出した研究プロジェクト(MetaForm)にも関与しました。
ザッカイは、画期的な病室システムや、Continuumの別のイノベーションであるリーボックポンプに取り組んでいる時でもいない時でも、デザイナーとしての責任を常に真剣に引き受けています。「私たちは、21世紀が定義する『より良い』を実現することで、この責任を果たすことができます」彼は言います。「そして、より良い製品とサービスをデザインするという私たちのビジネスを続けることで、急速に過熱状態になっているこの世界に新しい『クール』を届けることができます」