Ward Bennettによる製品


ヨーロッパではフィレンツェとパリで美術学校に通いましたが、イラストレーション、彫刻、宝飾加工、そしてファニチャーやインテリアのデザイン、住宅のデザインにいたるまでの技術のほとんどは独学で身につけたといいます。ベネットはかつて、自分の技術について「人びとから学んだのです」と語ったことがありますが、これはハッティ・カーネギー、ハンス・ホフマン、ジョージア・オキーフなど、影響を受けた多くの芸術家たちに学んだという意味です。

Bennettは最終的にニューヨークに戻り、その高い評価によって、当時最も富裕だった人びとや企業を顧客に持ちました。顧客リストに名を連ねていたのは、デヴィッド・ロックフェラーとチェース・マンハッタン銀行、ティファニー、ササキ、イタリアの実業家ジャンニ・アニェッリ、『ローリング・ストーン』誌の創業者ヤン・ウェナーなどでした。また、リンドン・ベインズ・ジョンソン元大統領も、Bennettに大統領図書館の椅子のデザインを依頼しました。「バーの椅子と法廷の椅子を掛けあわせて、小さなウェスタン風のサドルを載せたような」椅子、という注文でした。

Bennettは常にシンプルさと快適性を目指しており、ランバーサポートについて、チェアのアームの重要性について、そしてデザインに正しい「ピッチ」を取り込むことについても、ジョン・F.ケネディ大統領の腰痛を診察していた医師の協力によって多くを学んだと語っていました。

Bennettは150を超えるチェアをデザインし、その多くはクラシック作品として知られています。その1つ、Landmark チェアは、1993年に Geiger から再発売されました。(Bennettは Brickel Associates とのコラボレーションの後、1987年に Geiger 社で働き始めました)。

「私は人びとから学んだのです。」

- Ward Bennett

2003年に亡くなったBennettは、産業用の素材を家庭用のファニチャーに使用した最初のアメリカ人といわれています。1970年代にハイテク素材が流行するよりもはるか以前のことでした。ベネットは、アメリカ建築家協会より、「産業用のハードウェアを気品あるオブジェクトに変えた」功績を讃えられています。

「ウォードのデザインに過剰なものは一切ありません。余計なものが1つもないのです」と、かつてBennettのアシスタントを務め、現在はそのレガシーを受け継ぐデザイナーとして活躍しているティム・デフィーブレは語っています。「彼のデザインは常に、核心がむき出しになるまで、すべてが削ぎ落されています。それがベネットの作品の本質なのです。」

Bennettの作品の多くは近代美術館およびクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館の永久収蔵品となっています。また、Bennettは『インテリアデザイン』誌の「名誉の殿堂」にも顕彰されています。

「デザインされてから40年も経つ H Frame ストレージが2004年のベスト・オブ・ネオコン金賞を受賞したという事実が、ウォードの作品の素晴らしさを端的に証明していると思います。私がデザインについて語るとき、常に言うことがあります。それは、製品はその時どきの流行でもてはやされたり廃れたりするが、良いデザインは常に変わらず良いものだ、ということです」とデフィーブレは語っています。